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高所得者層誘致を目指して ~JNTOドバイ事務所を新規開設~

高所得者層誘致を目指して ~JNTOドバイ事務所を新規開設~

高所得者層誘致を目指して ~JNTOドバイ事務所を新規開設~

「2020年までに訪日外国人客数4,000万人・消費額8兆円」という政府目標を目前にした2019年、高所得者層誘致のポテンシャルが高いことから、JNTOでは初めて中東地域に事務所を設立することを決定。そして2021年の11月1日、アラブ首長国連邦(以下UAE)にJNTOドバイ事務所を開設しました。事務所の設立地をUAEのドバイとしたのは、ドバイが中東のヒト・モノ・カネの流通ハブであり、トレンド発信拠点であるためです。今回はUAEを中心に、知られざる中東地域の旅行市場についてご紹介します。

中東地域市場の富裕層とは?

JNTOでは、湾岸協力理事会※(GCC)参加国のサウジアラビア、UAE、バーレーン、オマーン、カタール、クウェートにイスラエル、トルコを加えた8カ国を「中東地域市場」としてプロモーション重点市場に位置付けています。

※ 湾岸協力理事会(GCC:Gulf Cooperation Council):アラビア半島に位置し、ペルシャ湾に面する6カ国が参加する地域協力機構。参加国で世界の原油埋蔵量の約3割を有し、近年では金融や観光など、経済の多角化において連携を進めている。

政府が掲げる「2030 年に訪日外国人旅行者数 6000 万人、訪日外国人旅行消費額 15 兆円」の目標に向けて大きな成長が期待される中東市域市場でのプロモーション強化のため、JNTOは2021年11月1日にJNTOドバイ事務所を開設しました。

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開所式の様子(写真右から:菊池朋子ドバイ事務所長、清野智JNTO理事長)

「富裕層」が多いイメージの中東地域市場ですが、例えばUAEでの平均世帯年収は866,890AED(約2,600万円、レート1AED=30円換算)というデータがあり、実際に所得が高い特徴があります(ドバイ統計センター、2014年)。もちろん国民の多くが石油王並みの財力をもつわけではなく、UAE(人口約977万人:世界銀行、2019年)では人口の1割程度と言われる自国民が、主に公務員や企業経営者として高い報酬を得て、手厚い社会保障(医療・教育費が無償など)を享受しています。

その一方、建設労働者からタクシー運転手、金融機関等のエグゼクティブクラスまで、主な労働力としてはインド・パキスタン・エジプト・シリア・フィリピン・アフリカ・欧州などからの外国人に支えられており、そのためアラビア語に加え英語が共通語となっています。

こうした、少数の裕福な自国民を多数の外国人労働者が支える構造は、カタールやクウェートにも見られます。これに対して、サウジアラビア、バーレーン、オマーンでは外国人労働者依存から脱却する「自国民化」を進めており、自国民が人口の5~6割程度を占めるため、所得における中間層も比較的多くいます。

 

中東地域の海外旅行市場動向

2019年、中東地域からの訪日者数は約9万5千人であり、そのうちGCC6カ国からの訪日旅行者数は過去最高の約2万9千人に達しました。また、観光目的の割合が高まっています。

他国に比べまだ数は多くありませんが、対前年比28%増と高い成長を見せており、このうちの7割を、サウジアラビアとUAEが占めています。

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UAEと富裕層旅行について

中東地域市場のなかでUAEについてピックアップすると、UAEは国土が北海道と同程度と小さく、娯楽も少ないため、年2~4回と他国と比べて海外旅行に行く頻度が高い傾向にあります。人気の海外旅行先は、近隣諸国を除くと英国、フランスなどの欧州が多く、アジアではタイ、同じイスラム圏のマレーシアなどが人気です。

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訪日旅行者数は2019年で約9千人と、UAE国民にとって日本はまだニッチな旅行先ですが、旅行会社によると訪日旅行をする人たちは欧州などを一巡し、新たな旅行先を求めている高所得者層です。ビジネスクラスに乗って5つ星クラスのホテルでスィートルームに宿泊し、10日~2週間滞在するような旅行のスタイルが主流であり、旅行あたりの消費額が大きいため、今後中東地域からの旅行客を増やすことにより大幅な旅行消費増大が期待できます。

UAEの富裕層旅行の特徴としては他に、「家族旅行では夫婦に子ども3人以上、使用人を連れて6人以上のグループとなり、コネクティングルームの需要が高い」、「旅行のプランニングにおいては、なじみの旅行会社に個別手配を依頼するケースと、比較的若い世代ではオンラインで自己手配するケースがある」などの点が挙げられます。

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また、UAEからの旅行者によるカード決済情報から、ホテルや衣服ブランド、貴金属・時計、百貨店での利用金額が大きいことが分かっています。

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コロナ禍でも、UAEでは帰国後の隔離措置がないため、海外旅行意欲は高く、2021年夏頃から欧州やモルディブなど隔離なしで入れる国への旅行が増えつつありました。2022年1月時点では、オミクロン株の流行のため政府がワクチン非接種者の出国を禁じるなどしており海外旅行需要も低下していますが、これが収まればまた海外旅行需要が高まることが予想されており、訪日旅行に関しても、中東地域から旅行会社を通して復活を心待ちにする声が寄せられています。

 

JNTOドバイ事務所のプロモーション紹介

ドバイ事務所では、訪日再開後にすぐにでも旅行先として日本を選んでもらえるよう、情報発信に力を入れています。中東地域市場では日本への関心はそれなりに高いものの、訪日旅行で何が楽しめるのか、具体的なイメージを持たない人が多いためです。

2021年5月には、中東地域最大級の旅行博覧会Arabian Travel Marketに出展。会場ブース内およびオンライン商談も含め、旅行会社などと126件の商談を行ったほか、事務所開設が注目され、国営アブダビTVなど複数メディアから取材を受けました。

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Arabian Travel Marketにて商談中の様子

2021年12月には、JNTOで初めてアラビア語でのFacebookとInstagramのアカウントを開設し、約3カ月のうちに5000人以上のフォロワーを獲得しています。

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日本の観光資源の魅力についてアラビア語で発信

2022年5月にもArabian Travel Marketへの出展を予定しています。また、2022年は日UAE国交樹立50周年という節目の年でもあります。こうした機会を活用し、中東地域からの訪日旅行者を確実に増やしていくため、積極的なプロモーションを展開していきます。

 

【参考リンク】

JNTO Facebookアカウント(アラビア語) Visit Japan ME

JNTO Instagramアカウント(アラビア語) Visit Japan ME

JNTOアラビア語サイト