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東京2020オリンピック・パラリンピックにおけるJNTO訪日プロモーション実施内容と効果について

Written by JNTO

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)は、新型コロナウイルスの世界的なパンデミックにより、大会の1年延期、緊急事態宣言下で無観客での大会開催という特殊な環境で開催されました。海外メディアに対しても入国制限や移動規制を行ったため、東京2020大会を契機とした報道を通じての日本の魅力発信は限定的とならざるをえませんでしたが、JNTOではこのような状況においても関係団体と緊密な連携を図り、将来のインバウンド増加に向けてさまざまな情報発信や訪日プロモーションを行い、日本全国の魅力を発信すべく取り組みました。その内容と効果の検証結果をお知らせします。

目次

東京2020大会におけるJNTOの戦略と取り組み

東京2020大会では、海外からの観戦客の受け入れが叶わず、メディアの入国制限や移動規制が行われました。それにより、東京2020大会を契機とした海外メディアによる日本の魅力に関する情報発信がされにくい状況となりましたが、JNTOでは広告宣伝、ウェブサイトでの情報発信、メディア向け情報発信などさまざまなプロモーションを実施し、旅行先としての日本の認知度向上を図りました。

訪日プロモーション「2つのキーメッセージ」

東京2020大会における訪日プロモーションのキーメッセージは2つ。ひとつは将来の訪日に向けて「知られざる地方の魅力」を発信すること。もうひとつは、パラリンピックを契機に日本がアクセシブルな旅行先として認知されるよう、「日本のアクセシビリティ」について紹介すること。この2つをキーメッセージとして、東京2020大会期間中に集中的に情報発信やプロモーションを行いました。

ターゲット市場を選定

オリンピック・パラリンピックへの関心の高さや訪日のポテンシャルを考慮して、米・中・英・仏の4ヵ国をターゲットの重点市場に選定。他には、オリンピック・パラリンピックへの関心がありつつ、訪日観光客となる可能性が高いと思われる国や地域を対象にしました。

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メディア戦略

海外メディアによる日本の観光情報の記事化を促すため、全体の東京2020大会の取材を通じてJNTOがどのような情報を海外メディアに提供でき、その情報提供のプラットフォーム(ウェブ、ニュースレターなど)や問い合わせ窓口などを紹介するメディアキットや、日本での文化体験やアクセシブル体験などメディア向けの記事ネタを盛り込んだニュースレターを重点市場へ積極的に配信。海外メディアにとってはコロナ禍での難しい取材となるため、要望に応じて個別に取材対応するなどしてメディアとの関係を強化しました。

また、東京2020大会期間中に取材活動を行う国内外のメディアの取材拠点として設けられた東京都メディアセンターにて、“JAPAN SHOWCASE” を開催。日本全国の自治体・DMO32団体と連携して、地方の魅力をPRする展示や映像を設置するとともに、オンラインでもメディアに情報を提供しました。
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東京都メディアセンターで開催したJAPAN SHOWCASEの様子

 

デジタルでの情報発信強化

海外観客の受け入れ断念を踏まえ、プロモーションの目的を将来の訪日意欲向上にフォーカス。日本で楽しめるスポーツアクティビティや全国各地の魅力、アクセシビリティなどについて、デジタル広告やJNTOのオリンピック・パラリンピック特設サイトでの情報発信を強化しました。
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三重県の海でのカヌー体験など、多様なアウトドアアクティビティの紹介動画を制作・配信

動画を使ったプロモーションのひとつとして、オフィシャルスポンサーのVISAと連携し、Team VISAアスリートに所属していた米国のオリンピック金メダリスト、アシュトン・イートン氏を起用。彼が日本の各地でカヌーやサイクリングなどのアクティビティを体験する様子を撮影し、プロモーションツールとして活用しました。

他にも、“アクセシブルな旅行先”としての日本を動画で訴求。障がい者・高齢者でも諦めることなく、また移動についてもためらわずに安心して旅行ができるアクティビティやモデルコースを紹介しました。
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マリンアクティビティ体験ができる沖縄県バリアフリーツアーセンター

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ベビーカーや車いすでもビーチ散策ができる兵庫県の須磨海岸

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カート登山や、デュアルスキー、ユニバーサルフィールドがある長野県の富士見高原

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山形県の車いすパラグライダー

 

また、南アフリカの車いすトライアスロン選手ピーター・ドゥ・プリーズ氏や、米国の車いすマラソン選手ダニエル・ロマンチュク氏をインフルエンサーとして招請。日本各地でユニバーサルデザインタクシーや鉄道を利用して観光を楽しむ様子をSNSなどで発信してもらうことで、日本のアクセシビリティ認知につながりました。

 

プロモーションの効果と、海外目線での興味・関心

東京2020大会における訪日プロモーションの効果

訪日意欲を喚起するためのオンライン広告・TVCM・屋外広告動画は、欧米や中国などで延べ3.1 億回以上視聴され、米・中・英・仏4ヵ国での「オンライン広告視聴者」を対象としたアンケートでは、回答者の70%以上が広告を視聴した結果、「日本を訪れたい」と回答しました。

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米国でオリンピック・パラリンピックの放映権を持つNBCによるアンケート結果では、CM視聴者の95%が日本に関してポジティブな印象を持ち、40%が次の海外旅行先に日本を予約・検討すると回答しています。

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また、重点市場4ヵ国の1,500人以上の有力メディアジャーナリストに対して行ったニュースレターや情報提供、個別アプローチの効果として、日本を紹介する記事が13.4億人以上にリーチ。SDGs視点でのアクセシブルツーリズム関連の情報も1億人以上にリーチするという結果が得られました。

米国のトラベル情報誌『Travel Pulse』では、日本が「知られざる地方の観光スポットがあり、誰でも安心して旅行できるアクセシブルツーリズムを提供している」、「アクセシビリティを提供しているのは東京だけではない。他の多くの場所でアクセシブルなスポーツアクティビティを提供」と紹介され、情報発信が記事掲載へとつながっています。

同様に英国のNational Geographicブランドのトラベルマガジン『National Geographic Traveller』が発表しているReader Awards 2021では、東京2020大会開催を通じてさまざまな情報が発信されたことを受け、「自然と文化の多様性に魅了される日本は、お気に入りのロングホール旅行(地域外の遠い国まで行く旅行)先として世界中から多くの票を集めた」として、日本を「最も訪れたいロングホール旅行先」に選出。そして、「あまり知られていない島や都市を観光組織が宣伝しようと努めているため、日本のユニークで多様な商品がこれまで以上に利用しやすくなっている」として日本は「ウィッシュリストに含めたい旅行先」にも選出されました。

海外目線での興味・関心

東京2020大会開催期間中に訪日した海外メディア209名にアンケート調査を行ったところ、「今回取材において最も日本に魅力を感じたこと」に対しては、日本の強みである「歴史・伝統文化」が1位に。2位に「食文化」、3位に「有名な観光スポット」という回答が続きました。

「今後日本で取材をする場合、関心がある項目」に関しては1位が「有名な観光スポット」、2位に「歴史・伝統文化」、3位に「食文化」が続き、4位に「スポーツを含むアクティビティ」が入りました。さらに2026年に開催予定の「ワールドマスターズゲーム」、2025年開催予定の「大阪・関西万博」にも一定の関心が寄せられました。「また日本に取材に訪れたいと思いますか」との問いには「そう思う」「ややそう思う」という前向きな回答の割合が約83%にのぼり、日本のさらなる魅力のアピールにつながりました。

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海外13の国と地域の居住者に対して行ったアンケートでは、今大会の視聴を通じて回答者の44.2%が日本への関心が強まり、パンデミック後の訪日意欲は73.2%にのぼるという好結果を得ています。

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アンケートで訪日意欲を示した回答者のうち、38.6%(推計値で3.9億人相当)が「今大会を契機として新たに」訪日意欲が増したことを示しました。また、日本の印象変化については、特に「歴史・伝統文化」や「景色・風景」といった日本が誇る文化や風土への印象が上がる結果となりました。

プロモーション効果の詳細については、プレスリリース「Tokyo2020を契機とした訪日プロモーション効果とJNTOのレガシー」でご覧いただけます。ここで得た経験をレガシーとして活用し、これから日本で開催される注目イベントに際しても効果的にプロモーションを展開していきます。

 

今後の国際メガイベントに向けて

メディアアンケート調査と海外居住者アンケート調査の両方で、2025年大阪・関西万博に対する一定の関心の高さが示されました。特に海外居住者は「パンデミックが落ち着いた後、日本で国際メガイベントが開催されるなら訪れたいと思いますか」という問いに対して、66.5%もの人が「そう思う」「ややそう思う」と回答。「今後日本で国際メガイベントが行われる場合、訪日して観戦・参加してみたいと思うスポーツやイベント」については、サッカーの23.9%を上回って、万博が最も多い27%となりました。

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東京2020大会はコロナ禍という特殊環境下での開催となり、コミュニケーション手段としてオンラインの優位性が急激に高まりました。メディアの情報収集ツールとして従来型のスポーツ番組などに加え、検索エンジンやYouTubeなどのデジタルコンテンツが存在感を現し、取材方法も対面よりオンラインがやや優勢であったことが分かっています。日本の情報を露出させていくために今後もオンライン対応が必須であることを感じさせる結果となりました。

JNTOでも今大会期間中のプロモーションに際し、デジタル広告やオンラインツールを活用し、施策を進めました。特にメディアとの関係を築くうえでは、今後ますます現地取材と並行して一部をオンライン参加可能にするなど、ハイブリッド型での実施リクエストが増えてくることが予想されます。

また、メガイベントにおいては関係各所と緊密に連携し単独では実施困難なプロモーションを展開する絶好の機会です。今後日本で開催されるメガイベントを契機とした地域プロモーションを展開する際にも、リアル×ハイブリッド施策や、関係各所と連携した相乗効果を通じて関心コンテンツを広告クリエイティブやストーリー化した記事(WEBサイト掲載、ニュースレター)への掲載など、最大限に活用することが重要です。JNTOでは、コロナ禍で培った知見を活かし、今後日本で開催される注目イベントでも効果的に訪日プロモーションを展開して、更なる「日本のファン」獲得に注力していきます。

 

【参考リンク】
プレスリリース「Tokyo2020を契機とした訪日プロモーション効果とJNTOのレガシー」

広告動画 “JAPAN 47 Prefectures”

 

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