延岡(宮崎県北)の訪日インバウンドの未来を考えるワークショップ

Written by JNTO

11月21日に宮崎県の北部・延岡市で、「延岡(宮崎県北)の訪日インバウンドの未来を考えるワークショップ」が開催されました。JNTOが主催するワークショップの第4弾として行われ、自治体関係者をはじめ、観光業を営む方、地元企業に勤める方など33名が参加。約5時間におよぶワークショップの様子をレポートします。

魅力ある潜在的な資源をアピールして、周辺地域からの集客を強化!

外国人旅行者に人気の高千穂にほど近く、宮崎・大分・福岡といった都市からもアクセス可能な延岡。川、海、山と変化に富んだ地形を活かし、カヌーやシュノーケリング、トレッキングなどのアクティビティも盛んです。また、チキン南蛮発祥の地としても知られるほか、地鶏や鮎など全国区のご当地グルメが多数。さらに、日本神話にまつわる伝承も多く、天照大神の子ニニギと富士山の神様コノハナサクヤヒメの出逢いの聖地として歴史ファンにも親しまれています。

そんな延岡ですが、インバウンドに関しては、「よい資源はたくさんあるのに、うまく活用しきれていない」「そもそも、外国人とのコミュニケーションに抵抗がある」といった悩みがあるようです。

ワークショップはJNTO山崎道徳理事の挨拶からスタートし、近年のインバウンドについて、「日本の観光業はまだまだ伸び代がある」「特にリピーター層が増えている」と上昇気流に乗っていることを説明。そして、「日本はいにしえの物語が息づく国。皆さんの日常の中にも、訪日インバウンド客が魅力を感じる観光資源はたくさんあるはずです」と呼びかけました。

 

グループワークで、1泊2日の観光コンテンツ作成にチャレンジ!

続いて、ファシリテーターの株式会社創造開発研究所の高橋誠氏から、グループワークのルールが伝えられました。「今から皆さんは、延岡をPRする会社の社員です。その社員として、延岡の理想的なインバウンドプロモーションを考えてください」。

同じテーブルに座った5~6人でひとつの会社の社員と仮定し、各グループで訪日観光客向けの1泊2日のパッケージツアーを企画していきます。最初に行ったワークは、自分たちの会社名を考えること。早速、熱のこもった議論が始まりました。

延岡での感動を英語で表現したという「オゥ!マイガッカンパニー」、地元名物をズバリ社名にした「(株)チキンなんばん」、宮崎弁で“気にするな”を意味する「いっちゃがリパブリック」、スケールの大きな組織を予感させる「独立行政法人Enjoy Japan 九州支社 東九州出張所」、神話の舞台が点在する延岡を象徴する言葉「TENSONKOURIN」、延岡の海に生息する珍魚の名を冠した「かえるあんこう~frog fish~」。個性あふれる社名がズラリと並びました。

アイスブレイクの後、各グループで会社名を考案

 

観光客の国籍は、台湾? 香港? 欧米? 想定ターゲットを明確に

ワークショップ前半の座学のテーマは、「インバウンドプロモーションにおける延岡(宮崎県北)の課題共有」。株式会社JTB総合研究所の吉口克利氏が登壇し、インバウンド集客を成功させるにはターゲット層を明確にすることが大切だと指南。続けて、「延岡に訪れる外国人の特徴は?」と参加者に問いかけたところ、「高千穂から来る人が多い」「レールパスで旅行している人が多いようだ」「大型クルーズ船・日向が日向市に寄港するときには、外国人観光客が一気に増える傾向がある」など、さまざまな実状が判明しました。

さらに、「ターゲットをしっかり絞り、彼らにとって魅力的な観光資源を考えていくのが大切です」と、吉口氏。早速、各グループで話し合うことになりました。まずは、観光ツアーのターゲットを決めていきます。「アジア系以外の方を見ることは少ないので、欧米にもっとアピールしたい」「日本に親しみを感じてくれている台湾や香港の人たちをターゲットにしたらどうか」など、活発な議論が交わされていました。

次に、“延岡の強み”と考えられる観光資源を、各自、思いつくままに付箋に書き出してみることに。「愛宕山」「城山公園」「チキン南蛮」「神話」といった観光キーワードのほかにも、「海と川の水がきれい」「雲海、日の出、星などの美しい自然現象」など、さまざまな“強み”が挙がりました。

延岡の強みとなる観光資源を書き出す

その後、具体的な観光ルートを討論。「世界最大の盆踊りとしてギネスブックに登録された“新ばんば踊り”は、絶対にアメリカ人に受ける! ひょっとこ踊りとセットで考えよう」「マリンスポーツやアウトドア体験。海産物も含めて、水にまつわるツアーにしたら?」「ツアー中に、体験の一環として参加者お揃いのユニフォームづくりをしたら面白いんじゃないか」など、具体的なアイデアが続々と生まれました。

 

お客様のニーズをつかんで、延岡を効果的にアピール!

後半は、「インバウンドプロモーションの考え方」と題した講義からスタート。株式会社JTBコミュニケーションデザインのコンサルタント宮口直人氏が登壇し、観光プロモーションを役割と成功のポイントが伝えられました。「大切なのは、お客様のニーズをつかむこと。そして、それを上手に伝えること」と語り、ウェブサイト、パンフレット、観光案内所や観光施設での接客・コミュニケーションなど、さまざまなプロモーション手法と、それらの手法による効果の違いをレクチャーしました。

「SNSは“なにこれ!?”なタイムリーな情報を発信するツール。ウェブサイトは“なるほど!”と思える普遍的な情報を発信するツールです。各メディアの特性を活かして、使い分けることが大切です」と宮口氏。外国人ジャーナリストのマイケル・カナート氏からは、「どの手法を選択したとしても、単に観光情報だけでなく、その裏側にあるストーリーも伝えることが重要です」とのアドバイスがありました。

 

ユニークな企画がまとまり、いよいよ発表へ!

この座学を受けて、次のグループワークではプロモーション手法が検討されました。「ゆるキャラをつくって、SNS、ウェブ、紙媒体のイメージを統一させよう」「やっぱりテレビの力は大きいと思う。インパクトのある映像を番組で流してもらおう」など、さまざまな意見が出ました。

その後、企画内容の精査もさらに進められ、ついにプランが完成。そして最後に、各グループの発表が行われました。

各グループのアイデアが詰まったプランが完成

参加者からは、「初めてワークショップに参加したが、今回の方法はとても参考になった」「延岡には、山・川・海の3セットで企画できる観光資源が多いことを再認識!」「延岡に長期滞在する欧米のお客様を増やすために、今後もインバウンドを真剣に考えていきたい」など、ワークショップ終了後のアンケートには積極的な意見が多数寄せられました。

参加者にとって、地域の未来を考える有意義な1日となったようです。今回のワークショップをきっかけに、延岡がさらなる発展を遂げることを祈っています。

「あなたの考える3年後」シートを手にする参加者の皆さん

 

各グループの発表内容

・オゥ!マイガッカンパニー

「イッツアメージング満腹ジャパンツアー2017」

アメリカ人の30~50代カップルを対象に、いろいろな「オゥ!マイガッ!」な体験してもらうツアー。延岡の焼酎・日本酒・ビールが楽しめる「三蔵(みつくら)めぐり」めぐりや、早朝の鏡山から眺めるご来光、ばんば踊りやひょっとこ踊り、さらには近江神社でのみそぎ体験なども。プロモーションについては、「キャラバン隊が1カ月ぐらいかけて、アメリカを西から東に横断。かぐらの衣装を着た私たちが、地元のメディアに出演してPRします」。

オゥ!マイガッカンパニー

(株)チキンなんばん

「ひむかの国の自然と食を喰う旅」

自然体験が好きなアメリカの30~40代夫婦に向けた、島めぐりクルージングを中心とした自然と食を満喫するプラン。布ぞうりづくりや、森林セラピー、鮎やな見学などの体験企画のほか、チキン南蛮や、岩ガキ、焼酎・日本酒・ビールといったグルメも存分に堪能します。SNSでクルーズの船長さんのインタビューをアップするほか、海外の旅行博にも出展。VRのクルーズ疑似体験コンテンツを提供し、ツアーの魅力をアピールします。

(株)チキンなんばん

・いっちゃが!!リパブリック

「美水ツアー 清流が育む自然と食king!!な旅」

ターゲットは30~40代の台湾女性。本物志向の方々に向けた、延岡の魅力=美しい水と美味しい食べ物が楽しめるプランを企画しました。海では海水浴やクルージング、マリンスポーツを。川ではリバーカヌーなどの“水”に関するアクティビティを。メヒカリ、イセエビ、鮎などの海の幸を満喫します。プロモーションは、ドローン撮影したダイナミックな動画をSNSに投稿。「特に北川町の“小川”は透明度抜群。まるでカヌーが浮いているような動画が撮れるはずです」とアピールしました。

いっちゃが!!リパブリック

・独立行政法人エンジョイジャパン 九州支社 東九州出張所

「Don’t Work? Don’t Eat. 働かざる者、食うべからず」

香港の30代独身女性に向けた、体験&グルメづくしの企画。初日は漁業、書道、料理、さらには民泊という、体験三昧の1日。書道体験での作品はTシャツに印刷して、ツアー中のユニフォームにするというユニークなアイデアも発表されました。2日目は、初日の体験のご褒美として、絶景で有名な神さん山(かみさんやま)と祝子川(ほうりがわ)渓谷に行き、ジビエ調理と温泉を堪能。プロモーションは、香港のパワーブロガーを招待して、ツアーレポートをアップしてもらう予定です。

独立行政法人Enjoy Japan九州支社 東九州出張所

・かえるあんこう~frog fish~

「みこと(MIKOTO・三事・命尊)三昧ツアー」

ターゲットは、「特別な体験がしたい」と思っているヨーロッパの30~50代。三事と命尊をかけた言葉遊びが楽しい、個性的なツアータイトルがポイント。海・川・山でのアウトドア体験は、ダイビング、リバーカヌー、リバートレッキングなどのメニューから、気分や難易度に合わせてセレクト可能。愛宕山や神さん山(かみさんやま)、祝子川(ほうりがわ)などの神話スポットも巡り、さらに、三蔵(みつくら)で三種のお酒も味わいます。「MIKOTOの意味がしっかり伝わるように、英語表記を徹底してプロモーションを行いたい」。

かえるあんこう~frog fish~

・TENSONKOURIN

「アクティブ!TENSONKOURIN」

敢えて「天孫降臨」をそのままローマ字表記にしたタイトルを付けた、ドイツの富裕層を狙ったプラン。タイトルどおり、神話で語られている「天孫降臨」の地を巡り、「神の国・ニッポン」を体感してもらいます。「富裕層を狙ったのは、贅沢な食事を提供したいから」というだけに、夕食は、鮎、チキン南蛮、伊勢エビに三蔵(みつくら)のお酒のフルコース。「外国人が知りたがるようなマニアックな情報をWEBサイトにアップして、インバウンド客を誘導したい」とのこと。

TENSONKOURIN

 

発表の講評

・株式会社創造開発研究所 高橋誠氏

「どのチームも、延岡の食・自然・神話・歴史の魅力が詰まったプランでした。今回は、ターゲットを絞るためにメインの観光素材を延岡市に限定しましたが、他の地域でも応用できる内容だったと思います。今日の手法を取り入れて、皆さまのそれぞれの地域でインバウンドを発展させてください」

・株式会社JTBコミュニケーションデザイン 宮口直人氏

「地元のコンテンツを知り尽くしているからこその、完成度の高いプランばかりでした。今日は時間がありませんでしたが、今後練り上げれば更によいプランになるはずです。その際に考え抜いていただきたいのは、テーマとコンテンツを繋ぐ“ストーリー”。そして、コンテンツの特長を短い言葉で捉えた印象的なキャッチコピーです。数ある観光地の中から選ばれるために、今日お伝えしたマーケティングの手法をぜひ実践してください」

・All About Japan編集長 マイケル・カナート氏

「観光プランをPRするには、その裏側にある“ストーリー”をしっかり見せることが大切です。美水ツアー、天孫降臨ツアーともに、素晴らしいストーリーで感心しました。さらに、そのストーリーを“どこで、どんな方法で”伝えるのかを考えたらよいと思いました。例えば、延岡に神話の残るコノハナサクヤヒメは、世界遺産・富士山にも祀られています。延岡だけで完結するのではなく他の地域と繋がることも考えたら、インバウンド集客はさらに推進するのではないでしょうか。皆さんの取り組みに期待しています」

・JNTO理事 山崎道徳

「今日、発表されたすべてのツアーに“人”が登場しているのは、大きなポイントです。延岡がもっている“人”という資産を効果的に利用していると感じました。そして、バックグラウンドには、食事、自然景観、体験があります。さまざま角度から練られたアイデアに、皆さんの地元愛を感じずにはいられませんでした。今日のワークショップはこれからの延岡の発展に繋がると思います。今後、皆さんのアイデアがどのように醸成していくのか楽しみです。どうもありがとうございました」

ワークショップの内容を視覚的に記録したグラフィックレコーディング

 

ワークショップスライド画像
1.インバウンドの動向・トレンドについて
2.ワークショップの流れ
3.座学①インバウンドを想定したコンテンツとターゲット層の検討
4.座学②インバウンドプロモーションの考え方

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