JNTO マーケティング研修会 in 東北

Written by JNTO

11月15日、宮城県の仙台国際センターにて、「JNTO マーケティング研修会 in 東北」が開催されました。日頃より訪日インバウンド誘致の取組みを行っている実務者約50名を対象に、先進的なマーケティングやプロモーションの取組み、その手法、効果を具体的かつ実践的な内容で共有するための研修会を実施しました。

目次

JNTOと東北地方のより強固な連携を目指して

今回の研修会は、JNTOが全国11ヶ所を周る「JNTO マーケティング研修会」の第10回目。訪日インバウンドの拡大に向けて、地域の皆さまと共にプロモーション活動を進め、 日本各地での取り組みを強化・促進すべく、日頃から訪日インバウンド誘致を行なっている方々を対象に、開催した。

一般社団法人 東北観光推進機構の協力もあり、東北地方で訪日インバウンド誘致を行なっている自治体・観光関連事業者の、観光マーケティングやプロモーション業務に直接関与する方々が多数参加し、賑わいを見せた。

 

初めに登壇したのがJNTO 地域連携部 地域プロモーション連携室 室長 渡辺厚。

消費額の増大を見込むことのできる欧米豪からの観光客が、旅先として日本を選ぶことの少ないという現状を踏まえ、「日本各地に試合会場が設けられ、東北地方でも、岩手県釜石市にて試合が開催される。ラグビーワールドカップ2019は日本、そして東北というデスティネーションを認知してもらうチャンスです。」と語った。また、そのチャンスを生かすためには、「世界中の市場に対し、データの集約、分析を行いその結果を踏まえた効果的なプロモーションを行う必要があります。」と述べ、デジタルマーケティングの重要性を説いた。

JNTOでは7月に組織再編を行い、地域連携部に地域プロモーション連携室を立ち上げたことを述べ、「地域との連携をより強化をしていきたい。」と語り、特に東北ではJNTO内に東北観光振興グループという東北のプロモーションを専属的に行う組織があることから、「JNTOと会場の皆様がしっかりタッグを組んで、ますます期待が大きくなる東北へのインバウンド誘客に全力を挙げて取り組んでいきましょう。」と語った。

 

続いて、本研修会の協力団体である、一般社団法人 東北観光推進機構 事業企画部長 毛利直俊氏が登壇。

現在、遅れているとされる東北のインバウンドをどのように取り戻すかというテーマで、東北6県が協力し、東北全体でプロモーションや受け入れ態勢の整備などを積極的に行なっていることを述べ、「東北地方における観光客数は昨年一年間で大きく伸び、その伸び率は全国比を大きく上回り、40%近くまで達しています。さらに、宿泊統計ではようやく東北6県で震災前を上回ることができました。」と語った。しかし、観光客の全国シェアでは1.5%と東北地方の割合は低く、東北への国際定期便が少ないことも述べ、「2020年に向けた誘客、受け入れ態勢の整備に引き続き取り組んでいく必要がある」と語った。

 

JNTOとDMOに必要な改革

続いて登壇したのが、JNTO 地域プロモーション連携室 谷口幸子。

「訪日インバウンドの最新トレンド」というテーマの元、最新のデータを参照し、訪日インバウンドの傾向や推移、今後の対策を紹介した。

その中で「観光立国実現のための新たな3つの柱の一つとしてJNTO・DMOの大胆な改革が掲げられており、その内容として、世界水準のDMOの形成、訪日プロモーションの戦略的高度化及び多様な魅力の対外発信強化が挙げられます。」と述べた。具体的な対策として、世界水準のDMOを2020年までに100組作ることを目標とし、さらに、JNTOによるDMOのコンサルティングの強化を行っていくと述べた。また、「訪日プロモーションの戦略的高度化及び多様な魅力の対外発信強化」の達成に向けて、JNTOのさらなる改革や体制の強化、欧米豪を対象としたグローバルキャンペーン、富裕層観光客への対策の強化、デジタルマーケティングの高度化といった取り組みを行なっていることを紹介した。

欧米豪市場に向けたアプローチの方法

「欧米豪市場について」をテーマに掲げ登壇したのは、JNTO 海外プロモーション部 マネージャー 山下広。

まず初めに、欧米豪の旅行者についてのデータを紹介し、そのデータを元に、JNTOが行なっているプロモーションについて話を展開した。

JNTOでは欧米豪旅行者層の8〜9割を占める「個人旅行者層」と、富裕者層を取り込みことができ、なおかつ、観光素材の発見や個人旅行者層へ間接的なプロモーションを行うことのできる「旅行会社利用者層」をターゲット層としている。「個人旅行者層」に向けては、欧米豪主要6カ国において行なった大規模アンケート調査の結果から得た自然や文化の分野に跨る7つの主要な興味関心をカテゴリー毎に分けて発信していく「Enjoy my Japanグローバルキャンペーン」の実績を紹介。キャンペーン動画は視聴数計1億2千500万回の内、12%が完全視聴を達成し、サイト訪問者数は約56万に及んだことを紹介し、「今回のキャンペーンで入手することのできたデータをもとに、今後の事業の展開、メディアプランの展開に活かしていきたいと思っています。」と語った。また、「旅行会社利用者層」に向けたプロモーションには、「現地の旅行会社の構造、年間スケジュールを理解した効果的なアプローチを長期的に行う必要があり、最低でも1年以上の期間を見ていただくのが現実的です。」と述べた。さらに、「欧米豪のBtoBの見本市では、1年先の旅行商品を全て決めてしまうこともあります。なので、オールジャパンとして多くの方に出展していただき、いろいろな商品をご紹介することができればと思っています。」と語り、新しいデスティネーションに高い関心を持っているスペシャリスト系旅行会社へのアプローチの重要性を説いた。

 

「いまからできる」ラグビーワールドカップ2019に向けたプロモーション

続いて登壇したのは、JNTO ラグビーワールドカップ2019日本大会・2020年オリンピック・パラリンピック東京大会観光戦略推進室 大庭重久。

「いまからできる」ラグビーワールドカップ 2019 をフックにしたプロモーションをテーマとして掲げ、世界3大スポーツ大会にも数えられるラグビーワールドカップに対する世界の関心の高さを述べた。中でも日本が今後、観光客の増加を狙う欧米豪市場の英国、オーストラリア、イタリア、フランス、ニュージーランドの関心が特に高いことを示した。

さらに、ラグビーワールドカップ 2019に関心がある方へ向けた訪日意向に関するアンケートにおいて「決めるには時期が早い」「まだ考えていない」と答えた方の割合が合計で約60%を占めていることから、「今後のプロモーション次第で日本に訪れるかどうか迷っている方の態度変容も可能であると思っています。」と語った。また、プロモーションを行う上で、観戦のための訪日意向を示している方の90%近くが日本に訪れたことがなく、なおかつ、東京、大阪、神戸、札幌、横浜以外の7箇所の試合開催地では認知度が低いことを示し、「大会後でも日本に関心を持ち続けてもらうためにも、大会前はもちろんのこと開催時期である来年の9月から11月の間に、地域の魅力をうまく発信していく必要があると考えます。」と語り、ラグビーワールドカップ 2019をきっかけとして、日本全体で訪日観光客を伸ばし、日本や、日本の各地域を知ってもらうために、影響力のあるメディアと連携したプロモーションや、各地域との連携したプロモーション、大会期間中にも興味・関心を喚起するようなプロモーションを行なっていく必要があると述べた。

 

デジタルマーケティングをどのように捉え、活用していくべきか

最後に登壇したのは、「JNTO が実践するデジタルマーケティングの PDCA」をテーマとして掲げたJNTO 企画総室 デジタルマーケティング室 三井晃子。

初めに、JNTOの英語グローバルウェブサイト内で東北地方をどのように紹介しているかを取り組み事例として紹介し、東北地方に関するページはアメリカやシンガポールからのアクセスが多いこと、ページ訪問ユーザーは宿泊情報に関する関心が最も高く、旅行以外にもスポーツやアートへの関心が高いことなど、デジタルマーケティングを用いるとどのようなことがわかるかを紹介し、マーケティング、プロモーション手法の高度化のためにはデジタルマーケティングが重要であることを述べた。

さらに、デジタル化の意味を正しく捉えることも重要だと述べ、「デジタルマーケティングというと敷居が高いように感じられますが、マーケティングの手法がデジタル化している状況であるというだけで、マーケティングが持つ本来の定義に変わりはありません。また、デジタル化というとマーケティングの全てをデジタルにするのかと誤解をされがちなのですが、TVや紙媒体など既存の媒体にデジタルを掛けあわせていただくことが重要になってきています。」と語った。

また、最近の取り組みとして「災害時における外国人向け情報発信」を挙げ、JNTOでは、JNTO公式アプリでの災害用プッシュ通知機能の拡充を行なったことや、非常時に外国人旅行者に安全情報を届けるためにJNTO公式twitterを開設したことを紹介した。三井は、緊急時の情報発信のためのツールとしてデジタルを活用することは非常に有効であると述べ、「JNTOの役割として、現地での対応に追われ、災害情報の発信が難しい地域の方々に変わり、観光客に向けた災害時の交通情報や現地の情報を届けることが重要だと感じています。さらに、災害時の情報だけではなく、災害からしばらく経ち、観光客を受け入れられる状況になった地域のネガティブな情報を払拭するために、ポジティブな情報を発信することが重要であると強く感じています。」と語った。

 

研修会参加者の意見・感想

最後に、今回の研修会に参加した感想・意見を参加者に伺いました。

 

一般社団法人 東北観光推進機構(広域連携DMO法人) 事業企画部長
毛利 直俊様

「今回の研修会では、JNTOの目線から見て、東北地方の各団体の取り組みがどう見えているのか、JNTOが実施する東北に関するマーケティング結果から、日本の中で東北がどのような場所なのかを参加者が理解する良い機会だと思いました。また、JNTOの取組みの成果を、東北側でも今後の取り組みに反映したいと思っております。東北観光推進機構としても、東北地方並びに各県の認知度がまだまだ低いため、東北を知ってもらうための取り組みがさらに必要であると思っています。また、広域連携DMOとしての活動として、各地域との関係をしっかり作れるように情報交換をしながら取り組みを行っていければと思っております。」

 

東日本旅客鉄道株式会社 仙台支社 営業部 観光推進室
菅野 和泉様、甘露様

「私どもは、駅での困りごとなどに直面する機会が多く、そちらの対応を行わせていただくことが多いです。地方の駅などにいくと、日本語の表記にしか対応していない駅もあり、そういった場所にも訪れていただける訪日外国人観光客の方が来た場合の対応が追いついていない。外国語の表記を出すにしても、適切な表現であるか、効果的な表記であるか、という部分は観光プロモーションとも共通するものがあるのかと思い、大変興味深く聞かせていただきました。

特に、今回の研修会のテーマの中ではデジタルマーケティングに関するお話が興味深かったです。外国のお客様に、路線情報や、災害などによる運休などの情報をどう発信するかという面に関心を持っているので、JNTO様のアプリのお話は興味深かったです。JRでもアプリを出しており、外国語にも対応しているので、

合わせて使用していただけるとより確かな情報を得ることができるのかなと思いました。

また、国別の訪日外国人観光客数などの情報はこれからプロモーションをしていく上で、どのような指向性を持って行えば良いか判断する上で是非使用させていただきたいと思いました。」

 

おもてなし山形株式会社 企画部
矢口 美都里様

「おもてなし山形株式会社では、DMOとしては山形市、天童氏、上山市、DMCとしては、山形県の広域的な取り組みを行なっております。10月1日にVISIT YAMAGATAというサイトをオープンし、宿泊、イベント、グルメ、イベント、アクティビティなどの情報を発信しているほか、蔵王町ではワークショップを開き、旅行商品造成し、プロモーション業務、上山市と山寺ではHPの多言語課のお手伝いをしています。現状ではインバウンドを積極的に進められていないのですが、欧米豪を今後の見込み、最終的なゴールとして視野に入れていきたいと思っており、今回の研修会はその参考になりました。ほかにも、ラグビーワールドカップ2019に向けては、地元だからこそできる情報発信をしていけたらと思いました。

JNTO様に求めるものといたしましては、東北各県となると海外に向けての認知度は低く、東北全体で一丸と取り組みを行なうしかないため、JNTO様には各県ごとの発信を行なっていただけるとありがたいです。また、お客様のニーズを直接知ることができない部分があるので、どういった傾向のものを好み、どういった対応をすれば需要と供給があっていくのかを知りたいです。

さらに、写真の撮り方や文章の書き方も日本人に向けたものとは好みが異なると思うので、そちらも知ることが出来ればと思っております。」

 

宮城県経済商工観光部 アジアプロモーション課 推進第一班 主事
齋藤 遥様

「私は普段アジアプロモーション課という部署に所属しており、中国からのお客様に向けた業務を担当しております。現在、山形県様と協力をさせていただき、事業を行なっており、中国のOTAに宮城県と山形県で特設ページを作成し、旅行商品を掲載し、総客数の増加を目指しております。

宮城県ではデジタルマーケティングに力を入れようと動いているのですが、具体的にどのようなことをすれば良いのかわからないため、情報収集をさせていただきたく今回の研修会に参加させて頂きました。今回のお話を聞き、JNTO様のデジタルマーケティング室様が行なっている取り組みに関する今後の情報に期待しております。今後は、他県連携など広域的なプロモーションも行なっていければと思っておりますので、そういった点で、日本全国のプロモーションを行なっているJNTO様にご協力いただければありがたいと思っております。」

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