JNTO マーケティング研修会 in 福岡

Written by JNTO

11月1日(木)、福岡市の電気ビル共創館にて開催された、「JNTO マーケティング研修会 in 福岡」。日頃より訪日インバウンド誘致の取組みを行っている実務者約70名を対象とした先進的なマーケティングやプロモーションの取組み、その手法及び効果など、具体的かつ実践的な内容の研修会の様子をお届けします。

目次

日本の観光目標と九州の観光目標の達成に向けた研修会

今回の研修会は、日頃から訪日インバウンド誘致を行なっている方々を対象に、具体的かつ、実践的な内容で、JNTOが実際に行なっているマーケティングやプロモーションの取り組みを共有し、各地域のインバウンドプローションの高度化の促進を目的として開催されたもの。
一般社団法人 九州観光推進機構の協力もあり、九州地方で訪日インバウンド誘致を行なっている自治体・観光関連事業者の、観光マーケティングやプロモーション業務に直接関与する方々が多数参加し、賑わいを見せた。

初めに登壇したのはJNTO 地域連携部 次長 吉浜隆雄。
日本政府が掲げる、2020年までに訪日外国人旅行者数4000万人、訪日外国人旅行消費額8兆円という目標達成のためには欧米豪からの旅行者の拡大、地方への誘客の強化が必要だということ、JNTOでは新たに地域連携部を立ち上げたこと、地域の皆様方の窓口となる地域プロモーション連携室も体制の強化を行い、地域の皆様に対してこれまで以上にプロモーション活動に関する情報の発信などを行うとともに、地域の皆様のニーズ、情報の収集に取り組み、地域の皆様との連携の強化を図りたいと語った。

続いて、本研修会の協力団体である、一般社団法人 九州観光推進機構 事業本部 副本部長 緒方保宜氏が登壇。
同氏は、2023年までに訪日外国人数786万人、訪日外国人消費額1.2兆円を達成することが九州の観光目標であることを述べ、訪日外国人数に関しては、全国平均を上回る過去最高ペースであること、消費単価に関しては一人あたり15万円という目標に届かず、現状では10万円を下回っていることを述べた。
観光目標に達するためにも、消費単価の高い欧米豪からのお客様、富裕層の取り込みが課題であり、その課題を解消するためにも本研修会は意義深いものとなることを確信していると語り、壇上を後にした。

JNTOと地域の連携の強化

続いて登壇したのが、JNTO 地域プロモーション連携室 茅野慎吾。
「観光立国の実現にむけて」「訪日インバウンド動向」「JNTOと地域の連携について」という3つのテーマを軸に話を展開。
政府の掲げる目標を達成するためには、訪日旅行者数を増やすだけではなく、一人当たりの消費単価を引き上げる必要があることを指摘。消費単価が現状と同じままでは、例え訪日旅行者数の目標を達成できたとしても、旅行消費額が2020年段階で1.8兆円、2030年段階で5.8兆円、目標に足りないことを説明した。その対策として「地方誘客による平均泊数のアップ」「富裕旅行者層による単価のアップ」「娯楽・サービス消費の増加」の3つをあげ、一人当たりの消費単価を引き上げることで目標を達成したいと述べた。
また「目標達成に向けては、JNTOと地域の連携した取り組みが必要。地域の皆様には、その土地ならではの魅力を発信していただきたい」と語り、JNTOが地域との連携を高めるための組織改編や取り組みを行なっていることを紹介した。

欧米豪市場に向けプロモーションをどう届けるか

テーマ①として「欧米豪市場向けプロモーションのポイント」を掲げ、登壇したのは、JNTO 海外プロモーション部 伊藤亮。
欧米豪の訪日旅行客数は2011年から順調に伸びており、特に北米に関しては2012年に80万人だったものが2017年には180万人近くに増加しているが、訪日旅行客数全体で見ると割合が少ないと指摘。2017年のデータでは、アジアからの旅行者が85%の割合を占め、欧米豪からの旅行は11%ほどの割合にしか満たないことを示し、欧米豪からの旅行者の更なる増加のためには旅行目的地としての関心を、実際の訪日に結びつける後押しが必要だと語った。
また、「価格」「言語の問題」「日本の情報不足」が訪日阻害要因のトップ3であることを示し、「ターゲットを意識したプロモーションを行うことが重要です。」と語り、FITをターゲットにしたプロモーションにおいては、実際に行なったPR事例を紹介しつつ、「『旅行先としての日本の認知獲得』『消費者心理における日本のマインドシェアの拡大』『具体的な旅行計画につなげる訪日旅行の魅力の理解の促進』『実際の旅行商品購入につながる販売促進』の4つのステップを意識したプロモーションが必要。」と述べた。

富裕旅行市場が求めるもの

続いて登壇したのは、テーマ②として「富裕旅行市場の最新動向と誘客促進に向けた取り組み」を掲げたJNTO 市場横断プロモーション部 内田周佑。
まず初めに、「なぜ今富裕旅行市場なのか」と話し始め、2017年度は過去最高の訪日旅行者数を記録し、2018年度も順調にその数を伸ばしているにもかかわらず、訪日旅行者消費額が目標に達していないことに着目。その課題を解消するためには一人当たりの消費単価の増加をしなけければならず、一人当たりの消費単価の増加をするためには富裕旅行者層を取り込んでいく必要があると述べた。
富裕旅行者層を取り込んでいくためには、「富裕旅行者層とはいかなる存在か」ということ知る必要があると述べ、調査の結果、富裕旅行者の志向を豪華で最高級のものを求める従来型ラグジュアリー志向の「Classic Luxury」とミレニアム世代に見られる、自らの興味がある事項には高額の消費を厭わない新型ラグジュアリー志向の「Modern Luxury」の2つのタイプに定義付けすることができると述べ、新型ラグジュアリー志向タイプの富裕旅行者が徐々に増加していることを紹介した。
また、富裕旅行者層が求めるものとして「日本ならでは、地域ならでは、そこでしか体験できないもの、そこにしか存在しないもの、一般には公開されていないが特別に見ることができる、貸切にすることにできるなど、金額に関係なく特別なものが存在するのか否かが富裕旅行者層の獲得には重要。」と語り、JNTOが富裕旅行者層を獲得するためにどのような取り組みを行なっているのか、その取り組みを地域の皆様と一緒に富裕旅行者層獲得に向けて行いたいと思っている旨を述べた。

広がっていくデジタルマーケティングの役割

最後に登壇したのは、テーマ③「JNTOが実践するデジタルマーケティングのPDCA〜デジタルマーケティングの必要性〜」を掲げたJNTOデジタルマーケティング室 山本泉。
世界人口の半数以上が日常的にインターネットを使用しており、インターネットの利用時間についても、日本人よりも長くネットに接触している国が多いことを示した。また、利用デバイスとしてスマホの利用シェアは年々増え、そのシェアはPCの利用シェアを超えていると述べ、旅行トレンドとしても、ミレニアル世代を中心に「モバイルブッキング」「OTAの活用」「民泊」「チャット」など様々なツールを使用する旅行者が増えていることを述べた。山本は「世界各国で進むデジタル・コミュニケーションの拡大と一般化により、市場モデルの変化が起こり、マーケティング手法やその中身も変化していきます。今後あらゆる場面においてデジタルが占める割合もどんどん大きくなっていきます。このことから、私たちがなぜデジタルに対応しなければならないのかということがお分かりになるかと思います。」とデジタルマーケティングの必要性を語った。
デジタルマーケティングの強みとして、ユーザーの属性等を即座に、詳細に知ることができ、それらのデータを活用することで、ユーザーやマーケティング効果を可視化し、サービス・プロダクトのクオリティを引き上げ、最適なターゲットやタイミング、チャネル、メッセージで届けることができるようになることを紹介し、「デジタルマーケティングはこれまでの伝統的なマーケティングと何ら変わりはありません。ネットの普及で、デジタルが一般化されたことによって、マーケティングの手法そのものが「デジタル化」していくということなのです。」と語り、デジタルマーケティングには関係者全員でデジタル化を推進していくことが重要だと述べた。

研修会参加者の意見・感想

最後に、今回の研修会に参加した感想・意見を参加者に伺いました。

JR九州ホテルズ 代表取締役社長 中野 幹子様
私共のインバウンドへの取り組みとしては、日本人のお客様と同じように、「感動の花を咲かせる、また会いたくなるホテル」というところを目指していますので、どれだけ安心して、快適にお過ごしいただけるか、感動していただけるかということをお客様の国籍に問わず目指しています。九州へ欧米の方を誘致するにはまだ、時間がかかると認識したものの今後を見据えしっかりと取り組んでいく必要があると感じました。
とはいえ、事業者単独では限界があり、「九州全体」で取り組んでいくことが
大事だと実感しました。また、九州だけではなく、広島などの多くのお客様が集まる地域とも連携していければいいかなと思いました。
また、今回の研修会を聞いて、デジタルマーケティングも得意な分野ではないですが、ぜひ取り組んでいかなければいけないなと思いました。

一般社団法人 九州観光推進機構(KTPO)
海外誘致推進部 主査 幸野 慎太郎様
JNTO様のお持ちのデータというのは私たちが日頃参考にする宿泊旅行統計や訪日外国人の入国者数以外のかなり幅広い、属性なども追いかけたデータをお持ちですので、そうした情報に触れる機会があったことは大変勉強になりました。
また、JNTO様という先駆者が行った取組事例を知ることができたことも大変ありがたかったのですが、こういった点が難しい、こういう部分が越えるべき壁になるぞという先駆者であるからこそ見えた失敗談などをいただけますと大変助かったかなと思います。
また、今後の私共の取り組みといたしましては、2019年にラグビーワールドカップが日本で開催され、九州では、福岡、大分、熊本の3会場で10試合の試合が行われるので、その機会に会場となる3県を中心に九州を周遊していただいて、その後、帰国された際に自国で周りの方々に口コミをして頂いたり、旅中にSNSを通じて発信していただくことで、九州という地域を知っていただく。その素地づくりを今年度から来年度にかけて行なっていきたいと思います。

公益財団法人 佐世保観光コンベンション協会
事業部観光地域づくり推進室 室長 松田 紹弘様
観光マーケティング担当 三條 基継様
今回の研修会ではお客様がどこに反応しているのかという調査結果を知ることができてありがたかったです。特にリピーターという部分は一度来てくれたお客様がファンになってまた佐世保・小値賀に来てもらいたいなと思っておりますので、その部分で色々なデータを出していただいたのはすごく参考になりました。
再来訪した人はなぜ再来訪したのか、再来訪しなかった人はなぜ再来訪しなかったのか、という部分の深掘りしたデータがあるとよりありがたかったかなと思います。今後もしそのようなデータをいただけるのであれば、日本に再来訪したくないと思った点については現地にて修正していく必要があると思いますし、再来訪したいと思った点については、佐世保・小値賀にも当てはまる点があるか、あるのであればその強みとなる要素をどんどん強化して、外国のお客様にPRできる点を増やしていきたいと思いました。
今後は地域の観光資源の磨き上げ、掘り起こしを前提とした地域の受け入れ態勢の強化をしっかりと作り、その上で本日のお話にあったようなマーケティングデータを観光客誘致に活かしていきたいと思います。

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