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ウィズコロナ、アフターコロナにおけるインバウンドについて

2020年09月03日 (木)

Written by JNTO

日本政府観光局(JNTO)は、訪日プロモーション事業の実施主体として、外国人旅行者の誘致活動を行っています。新型コロナウィルスの影響を受けるインバウンドに関して、どのように対応していけば良いか不安な地域の方もいらっしゃると思います。今後のプロモーションや旅行トレンドなどについて、企画総室長 藤田礼子がお話しします。
※所属部署・役職は取材当時の情報です。

目次

【ホップ・ステップ・ジャンプ】ウィズ/アフターコロナにおけるインバウンド・プロモーションの3段階

新型コロナウィルスの影響で、旅行業をはじめ多くの産業および事業者が甚大な打撃を受けています。2020年夏に開催予定だった東京オリンピック・パラリンピックに向けて観光業の事業者や地域の方々がインバウンドの盛り上がりに備えていただけに、突如現れたパンデミックに落胆した方も少なくないでしょう。しかし、新型コロナウィルスと共存するこれからの時代、通称「ウィズコロナ」「アフターコロナ」でも、旅行したいという人間の欲求が消えるわけではありません。

「私たちが当たり前に思っていた時代とは異なる時代になりつつあります。慣れ親しんだ観光も少しずつ形を変え、時代に合わせて変化させなければならないのではないでしょうか。こうした状況の中、JNTOではインバウンド・プロモーション再開の道筋を、大きく3段階に分けています」

【ホップ】「将来的な訪日へのDream」につなげる

第1段階は相手国または日本国内において外出制限や自粛が継続している状態です。この段階では、「今すぐ来てください」というようなBtoC向けの呼びかけはできません。しかし、後の訪日につながるよう、SNS等による消費者に対する継続的な情報発信は大切です。またウェビナー(オンラインでのセミナー)等を通じて海外の旅行会社などBtoB向けの情報発信も有効だと考えています。

「例えば、JNTOではFacebookなどオウンドメディアを通じてStay home期間の間にじっくり視聴していただける日本の美しい観光地を紹介する長編動画を発信したり、観光地をライブカメラで中継したりしてきました。また、バーチャル・リアリティ(VR)や360度の動画、さらに参加型・投稿型・クイズ形式など消費者と交流を図る企画も人気です。こうした情報発信を通して『将来的な訪日へのDream』につなげていくことが大切だと考えています」

※JNTOが実施した情報発信の例
【参加型(ゲーム)】
・自分の誕生月に応じて、おすすめの次回訪問の観光地を紹介(豪州):https://www.facebook.com/VisitJapanAU/posts/2965956526791471
・日本でできる事項についてビンゴゲーム形式に配置した画像を投稿(香港):https://www.facebook.com/visitjapanhk/photos/a.165642160114870/3362637593748628/?type=3&__tn__=-R 

【VR映像】
・JNTOバンコクのVR動画サイト(タイ):https://www.jnto.or.th/imissjapan

【メッセージ性の高い投稿】
・「その日を待ちながら」というコンセプトで過去の動画を再編集したStay home動画を作成、
SNSやホームページにて公開(韓国):https://www.youtube.com/watch?v=tAjpbszrWGw&feature=youtu.be

【ステップ】トレンド変化を踏まえた訪日旅行のイメージ訴求

第2段階は日本及び相手国で国内旅行が再開している状態です。Stay Homeの時期と比べて気分も晴れてくる中で、第3段階を見据えながら情報発信を徐々に拡大していきます。そのため、まずは新型コロナウィルスの感染リスクの不安を軽減するために、安全安心の情報発信をしていきます。

「例えば、JNTOでは感染症対策のガイドラインを踏まえた各種対策や、日本の国内旅行が再開された状況などを海外へ発信することも検討しています。また、新型コロナウィルスによるトレンド変化を踏まえた訪日旅行商品を海外の旅行会社に造成していただくための支援を行うとともに、将来の訪日旅行のイメージを訴求していく予定です」

【ジャンプ】訪日外国人旅行者を誘客するプロモーションへ

第3段階は観光客の入国制限が解除された状態です。この段階になると、本格的なプロモーションを開始できます。

「例えば、JNTOでは旅行会社や航空会社との共同プロモーションや旅行会社・メディアなどの招請事業を通して、外国人旅行者を誘客していく予定です。また重要なことは、市場ごとに入国制限や旅行需要回復のタイミングが異なり、市場ごとに適切な再開タイミングを判断していくことです。JNTOでは海外事務所と連携を取りながら、各市場の最新動向を把握しインバウンド関係者の皆様にもお伝えしていきます」

 

【旅行トレンドの変化】富裕層とミレニアル世代に適応

ウィズ/アフターコロナにおける観光は、さまざまな面において大きく変わると予想されます。例えば都会の喧騒から離れた開放的な自然、健康に良いウェルネス関連の観光コンテンツは、観光客から求められるかもしれません。そうしたトレンドの変化を的確に把握し、地域のアピールポイント、受入環境、プロモーションを工夫するということが必要となってきます。

予想される変化としては複数あります。

まずは人数です。大人数での行動や密閉空間は避けられるため、大人数の団体ツアーは少なくなり、FIT(個人旅行者)や少人数のツアーが流行ることが予想されます。

続いてオンライン生活の一般化です。今までは旅行を店舗で検討し申し込んでいた人が、オンラインへ移行する傾向が強まるでしょう。そのため、デジタルマーケティングが今まで以上に大切になってきます。

そして、旅行に対する考え方です。感染症への不安が残るため、明確な目的や強い動機がないと、旅行しようという気にならないことが考えられます。そのため、観光客の受入再開の初期においては、すでに日本に何回も渡航経験があるリピーターや、本質的な日本体験を求める方たちが大きなターゲットになると思います。

「世界の旅行需要回復を牽引する旅行ヘビーリピーターは、富裕層やミレニアル層です。これらふたつの層の中には、本質的な体験を求め、自分の趣味や意義があると思ったことには惜しむことなくお金をかける方たちがいます。プロモーションができない今、主流の観光地やありきたりの観光スタイルには満足しない方たちに向けた観光コンテンツの造成や磨き上げを進めることが重要だと思います」

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【全世界が向かう方向へ】SDGsとレスポンシブル・ツーリズム(責任ある観光)

すでに世界的な傾向であるSDGs(持続可能な開発目標)への動きは、このパンデミックの影響を受け加速しています。SDGsは、貧困などの社会問題、経済活動、そして悪化しつつある環境問題まで世界が抱える課題を包括的に取り入れた、2015年に国連で193カ国の合意で採択された全世界の目標です。

観光業も経済的な指標に加えて、地域の活性化という社会的な側面、そして環境に配慮した観光の促進を重視しなければなりません。欧米の国々ではSDGsが当たり前のように取り入れられているため、特に若者の間ではSDGsという言葉を使わなくても、環境や社会に配慮した経済活動がデフォルトだと捉えられています。今後、観光地として選ばれ続けるためには、以上のことを「当たり前」だと理解し、SDGsに対応した取り組み・磨き上げを行うことが必要です。観光業は全世界が向かう方向へ舵を切る時期がやってきたのです。

JNTOが経営理念のビジョンとして掲げる「国民経済の発展」「地域の活性化」「国際的な相互理解の促進」「日本のブランド力向上」はSDGsと密接な関係性を持っています。

「観光客による消費の増加は地域経済の発展に貢献し、地域の活性化につながります。さらに、訪日外国人旅行者を受け入れることは文化や宗教による違いや多様性と接することになり、国際理解の増進につながります。そして観光客としても、SDGsという新たな価値観に合う観光地・観光コンテンツを選ぶため、それに見合った対価を払う観光客も増えるでしょう。地域の住民や自然環境などに配慮した観光を選ぶ、いわゆるレスポンシブル・トラベラー(責任ある旅行者)にお越しいただくことにより、地域経済、社会、環境などへの良い影響が期待できます。訪日旅行客の再来に向けて、皆様、SDGsへの取り組みに踏み出してはいかがでしょうか」

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専門家に聞く、海外DMOの最新事例

「海外DMOの取り組み事例を知る機会がなかなか得られない」「先進的な取り組みを知りたいが誰に聞けばいいかわからない」。そうした悩みを抱える地方自治体やDMOの方は多いのではないでしょうか。今回はワールド・ビジネス・アソシエイツの丸山芳子氏に、米国や欧州におけるDMOの取り組み事例、地域の役割、最新トピックなどの話を伺いました。丸山氏は米国のDMO最大の業界団体DI(Destination International)が主催するDMO幹部対象資格用研修CDME (Certificated Destination Management Executive)を日本人で唯一受講した、海外DMOに関する専門家です。

 

明けない夜はない。地域やDMOの皆様へ

「今は大変な時期かもしれません。しかし、明けない夜はありません。常に国内と海外の情報にアンテナを張りながら、将来の誘客に向けた地域の観光コンテンツの磨き上げを進めていただきたいと思います。訪日への強い動機を持った方々が地域へ訪れる日を念頭に置きながら磨いていけば、のちにきっと花開く日がやってくると信じています」

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