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地域におけるインバウンド事例を調査しました。

地域におけるインバウンド事例を調査しました。

地域におけるインバウンド事例を調査しました。

日本版DMOがスタートして丸3年が経ち、各地のDMOの取り組みも活発になっています。メジャーな観光地だけでなく、これまであまり知られていなかった地方にもインバウンド客が訪れるようになりました。地方へのインバウンド誘客に一定の成果を出している地域もあれば、慣れないインバウンド施策を前に試行錯誤を繰り返している自治体も多い中、当サイトでは地域においてインバウンド促進に取り組むDMOや自治体の担当者の参考にしていただくことを目的に、地域におけるインバウンド促進の取り組みを調査しました。本コラムでは、その調査を通じて気が付いたことなどを紹介します。

調査の目的/きっかけ

これまでJNTOではマーケティング研修会などを通じて、地域の皆様に対しJNTOが実践するデジタルマーケティングやプロモーション手法について情報共有を行ってきました。一方、マーケティング研修会の参加者や会議などでお会いする自治体・DMOの方々からは、「JNTOの取り組みだけではなく、他の地域のインバウンド事例などについても情報共有してもらいたい」との声が多く聞かれました。

そこで、プロモーションやマーケティング手法をJNTOの事例ではなく、実際に日本の各地域で実践されている事例を通じて紹介すれば、地域の皆様に参考にしていただけると思い、地域におけるインバウンド促進の取り組みを調査することとしました。

 

調査したインバウンド事例

今年度は、「行政と民間事業者との連携」や「デジタルマーケティングの活用」など、地域の方々に役立ててもらえそうな手法を実践されている、福島県、秩父地域おもてなし観光公社、田辺市熊野ツーリズムビューロー、佐賀県、山陰インバウンド機構、高千穂町観光協会、木曽おんたけ観光局の取り組みを調査いたしました。もちろん他にも効果的な手法はあると思いますし、今回取り上げた地域以外にも同様の手法を実施しているところはあります。今回紹介する取り組みを通じて伝えたいことは、その手法自体もそうですが、その手法にいたった考え方や、いざ実践する際のコツやポイントであり、それぞれの地域の実情にあったものを参考にしていただければと考えています。

 

調査を通じて気が付いたこと/お伝えしたいこと

今回の7つの取り組み事例の調査を通じて、どのような手法・取り組みであっても共通するコツやポイントがあることに気が付きました。

例えば、福島県が作成した動画は外国人クリエイターが関わっていますし、田辺市熊野ツーリズムビューローであれば、カナダ出身で地元在住のブラッドさんが一から外国人向けにコンテンツを作成するなど、「外国人目線の活用」が共通するポイントとして挙げられます。また、高千穂町観光協会が、「ターゲットである外国人のニーズを把握する“マーケットイン”の視点で考える必要があるが、私たち日本人には外国人の本当のところは理解できません。ならばデータを集めよう」とデータ分析に力を入れているのも、ある意味「外国人目線の活用」と言えるかもしれません。

また、ターゲットの絞り込みも共通するポイントです。例えば、佐賀県は「経済成長率」「映画・テレビ業界の動向」「日本への興味が高いか」「佐賀への導線」「日本の他地域でのロケ実績」の5項目について入念に調べあげ、タイをターゲットとしてロケツーリズムに取り組んでいます。秩父地域おもてなし観光公社では、連携する自治体や観光事業者の実務担当者がみんなで自由に意見を言い合うコア会議を実施し、それぞれが得意とするターゲット国をプレゼンし合っていました。その結果、台湾、アメリカ、フランス、タイの4カ国にターゲットを絞りこんでいます。

地域の特性によってテーマでターゲッティングしている事例もあります。木曽おんたけ観光局は「街頭歩き」や「歴史」など、田辺市熊野ツーリズムビューローは「巡礼」というテーマが響く層に向けてプロモーションを実施しています。地域によっては国ではなくテーマにフォーカスすることもポイントかもしれません。ターゲット明確化という点では、地域の知名度の低さを課題としている山陰インバウンド機構では、海外に向けてのプロモーションに加えて、すでに訪日している即ち日本に関心がある外国人をターゲットとし、羽田や成田でプロモーションをすることで効率よく山陰へ引き込む戦略を立てています。

 

まとめ

今回調査した7つの地域に共通するのは、やみくもにインバウンドに取り組むのではなく、その地域の強みや魅力を分析・理解し、自分たちの課題を明確化して、取るべき手法を絞り込んでいることです。地域でインバウンドに取り組む皆様には、今回紹介する取り組み事例を参考にしていただき、それぞれの地域の実情にあった手法や実践する際のコツやポイントなどを取り入れていただければと思います。