『Webサイト分析手法とPDCAサイクルの秘訣』JNTOデジタルマーケティング連載vol.1

2019年12月08日 (日)

Written by JNTO

JNTOにデジタルマーケティング室が発足し2年が過ぎ(2019年12月現在)、インバウンドにおけるデジタル領域のさまざまな知見がたまってきました。そこで、自治体でインバウンドに携わる方やDMOの皆さんへ少しでもお役立ていただければと思い、デジタルマーケティング室が取り組む情報発信手法や分析の仕方などについてご紹介いたします。私たちが日頃から目指しているのは、デジタルマーケティング手法を活用することはもちろん、「データを基に考える思考」「データ分析に基づく判断」(いわゆる「データドリブン思考」)を身に付けることで、これまでの経験や知見を大事にしながら、それらをデータ的にも裏づけることにより、マーケティング・プロモーション活動を行っていくことです。

目次

JNTOデジタルマーケティング室の取り組み:グローバルWebサイトやアプリ、SNSを運用

JNTOデジタルマーケティング室(通称:デジマケ室)は2017年10月に発足しました。

デジマケ室を取り上げていただいた動画です。よろしければぜひご覧ください

私たちは、英語グローバルWebサイトやスマートフォン向けアプリ、SNSなど各種オウンドメディアの運営を通じた情報発信や、DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)の構築・運用による一元的なデータ収集・分析・活用を行うなど、日々のさまざまな取り組みを通じてデジタルマーケティングに関する知見と手法を身につけています。

自治体やDMOの皆さんの中には、「人事異動でたまたまデジマケ担当になった」「デジマケってなにから手を付ければよいのだろう…(悩)」という方もいらっしゃるかと思います。
ご存知のようにデジタルマーケティングを取り巻く環境変化や技術進歩はとても早いため、私たち自身も試行錯誤を繰り返しながら日々取り組んでいます。そのため、このJNTOデジタルマーケティング連載で紹介する手法や事例はあくまでも一例にすぎないかも知れません。それでも、JNTOの今の取り組みを具体的にお伝えすることにより、地域でデジタルマーケティングに取り組む皆さんのお役に少しでも立てるのであればとてもうれしく思います。
今後はWebサイトやSNSの運営手法、JNTO Webサイトに訪れるユーザーの傾向、DMPに蓄積したデータからわかることなどを随時紹介していく予定です。

リニューアルで4つの数値を改善。英語グローバルWebサイトの改善と分析手法

英語グローバルWebサイトは、JNTOが全世界に向けて日本の魅力を発信していくWebサイトです。訪日外国人旅行者の視点で魅力的な画像を集めるとともに、日本の観光に精通したネイティブライターが英語で記事を書き上げ、さらに、スマートフォンから使いやすいWebサイトとして、2018年2月に新たに生まれ変わりました。

Travel Japan – The Official Japan Guide

リニューアル前と比較すると、新英語グローバルWebサイトでは主に①直帰率(*)、②1ページに滞在する平均時間、③1訪問あたりの閲覧ページ数、④モバイル及びタブレットからの閲覧率という4つの点で数字が改善。これは、急増するスマートフォンからのアクセスへの対応を適切に行った結果、ユーザーが1回あたりのWebサイト訪問で複数のページを回遊し、かつ1つのページでは長い時間に渡ってコンテンツがじっくりと見られているということです。情報発信する私たちの視点から見れば、ユーザーが求めている情報やコンテンツをきちんと掲載している結果と見ることができます。

ユーザーニーズを把握してPDCAを実践するために

英語グローバルWebサイトを訪れるユーザーは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンから多く流入してきます。多く検索されているキーワードを調べてみると、「okinawa」「osaka」「hokkaido」といった地名のほか、「japan travel」「japan visa」など訪日旅行に必要な基礎情報や、「japan in september」など季節ごとに楽しめる情報を求めていることがわかります。

また、上記の取り組みとともに、英語グローバルWebサイトにおける分析手法として「ヒートマップ分析」を導入。ユーザーがWebサイト内をどのように行動しているかを視覚的に捉えることでユーザーのニーズを明らかにしています。

下の左右の画像を見比べてみましょう。トップページ上部にある虫眼鏡マークの検索機能や、日本旅行に関する基礎情報をまとめた「Plan Your Trip」メニューに赤色がついて、色が濃くなるほどユーザーがよくクリックしている情報です。私たちはこういった分析結果を見ながら、デザインやナビゲーションメニューの改善、よく検索されているワードに関連したコンテンツの拡充などを行なっています。

デジタルマーケティング室では上述したように、Webサイト分析やヒートマップ分析などの各種デジタルツールを活用してユーザー属性や検索キーワードの傾向を可視化し、ユーザーニーズの把握に取り組んでいます。そしてその把握に基づき、新たなコンテンツ拡充や既存機能の改善をスモールテストのような形で行い、さらにその実施効果を検証するといった一連のPDCAサイクルを実践しています。

最近では、これらのデータ分析に基づいたコンテンツ拡充を行いつつ、ネットで検索されている日本旅行に関するキーワードやソーシャルメディア上で流行している話題など、ターゲット市場の消費者が求めている「旬」の情報を把握し、それらに応える情報を発信する「ストーリー形式」のコンテンツ掲載を新たに開始しました。

Stories & Guides

今後もユーザーから選ばれるWebサイトにしていくため、Webサイト全体の利便性や満足度向上を意識して掲載コンテンツの拡充やデザインの改善などが続きます。

今回はWebサイトのおける取り組みについて紹介いたしましたが、JNTOデジタルマーケティング室は同様のアプローチをSNSやアプリなど他のオウンドメディアでも行っています。今後は、今回紹介した定量的分析手法だけでなく、SNS投稿の秘訣といったコンテンツ面での工夫の仕方や、私たちの分析結果からわかることなど、定性情報も含めてご紹介していきます。ぜひ楽しみにしてください。

英語グローバルWebサイト Travel Japan
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