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各市場の最新動向を捉え、外国人旅行者の視点に立った訪日旅行の魅力を広める

各市場の最新動向を捉え、外国人旅行者の視点に立った訪日旅行の魅力を広める

各市場の最新動向を捉え、外国人旅行者の視点に立った訪日旅行の魅力を広める

日本政府観光局(JNTO)は、訪日プロモーション事業の実施主体として、外国人旅行者の誘致活動を行っています。本連載では、JNTOの取り組みをより知ってもらうため、活動内容や地域との連携などについて紹介していきます。今回は、海外プロモーション部 欧米豪グループ マネージャー代理 臼井さやか、東アジアグループ アシスタント・マネージャー 佐久間裕大、東南アジアグループ シニア・アシスタント・マネージャー 河横香織が、各市場におけるプロモーション活動についてお話します。 ※所属部署・役職は取材当時の情報です。

2019度市場別プロモーションスケジュールは、こちらの記事でご覧いただけます。

日本の魅力を広めるための海外向けプロモーションを展開

訪日旅行の魅力を海外消費者に伝えるため、世界に22ヵ所あるJNTOの海外事務所と連携してプロモーションを行う海外プロモーション部。東アジア・東南アジア・欧米豪の3グループ体制で、訪日旅行商品を扱う現地旅行会社の企画や販売促進の支援、海外メディアへの情報発信、WebサイトやSNSを通じた外国語による訪日観光情報の提供、旅行会社の招請、イベントの企画・実施など、市場ごとに訪日プロモーション事業を行い、日本への誘客促進に努めています。

主要業務のひとつとして、訪日ツアーを企画する現地旅行会社に対する支援があります。具体的には、観光ルートやツアー商品の提案、招請事業、日本の旅行会社などの民間企業・地方公共団体・観光関連団体とのマッチング、ツアーパンフレットの素材提供などを実施。また、旅行会社の販売員育成や販売促進ツールの提供といった販売支援事業も包括的に行っています。

また、一般消費者や海外メディアへの情報提供も重要な役割です。海外での日本の露出増加を図るため、現地消費者の目線に立った訪日旅行に役立つ情報について、WebサイトやSNSで発信している他、新聞や雑誌の記事、テレビやラジオの番組を通して旅行情報を発信しています。他にも、訪日の魅力を広めるため、イメージ広告の出稿、現地で行われる旅行見本市への日本ブースの出展など、多様な手段でプロモーションを展開しています。

プロモーション展開の戦略は「地方への分散」と「時期の分散」

JNTOが考える今後のプロモーション展開の戦略はふたつあります。ひとつは、地方に訪日外国人旅行者を分散させていくこと。そして、もうひとつは、閑散期に誘導することです。

「地方分散については、ゴールデンルート以外にも興味を持っていただけるような情報を発信していくことが求められます。一方、閑散期への誘導については、桜と紅葉の時期だけでなく、夏の日本もディスティネーションとして選ばれるよう、夏の北海道や長野、東北の祭りなどの認知度を上げていく必要があります」(臼井)

海外プロモーション部欧米豪グループ 英国担当の臼井さやか

最近は個別プロモーションとして、自然災害が発生した地域に特化した事業もいくつか実施しています。

「2018年だと西日本豪雨被害などが挙げられますが、災害報道があると観光できる状況ではないと思われる方も多いので、JNTOで被災地域の観光情報をとりまとめ、安全に旅行していただけるということを情報発信していくことも重要だと考えています」(臼井)

市場ごとに最新の動向を掴み、方針やターゲットを設定

訪日プロモーション全体方針を踏まえながら、部署内の各グループが、それぞれの市場に合わせて事業の方針やターゲットを毎年決めていきます。

たとえば、英国市場では2019年度、スポーツ愛好家層をターゲットに、ラグビーや東京オリンピック・パラリンピックを軸としたプロモーションを実施しています。これまで若い女性をターゲットにしていた香港市場は、家族や夫婦、カップル、シニアなど幅広いセグメントをターゲットにして、さまざまな旅行スタイルであらゆる世代の方に生涯に渡って訪日旅行を楽しんでもらうためのプロモーションを実施しています。一方、現地事務所を2017年に開設したばかりのインド市場においては、日本の認知度を上げることが最優先の課題であるとしました。

インドは、訪日外国人旅行者数はまだ少ない地域ですが、海外旅行者数そのものが伸びている市場であることに加え、日本の大手航空会社2社が2019年と2020年に相次いでインドの南部都市と成田を結ぶ直行便を新規就航。これらを大きなチャンスと捉え、一般消費者向けの広告事業や旅行会社へ訪日旅行商品の造成販売支援も行っています。

招請旅行の成功には受入地域の協力が不可欠

魅力的な旅行商品の造成や、海外のインフルエンサー・メディア等による情報拡散に欠かせない招請事業。この事業を成功に導くためには、受入地域の協力が欠かせません。そこで、それぞれのグループで2019年印象に残った地域連携の取り組みについて聞きました。

「欧米豪グループでは、東京2020オリンピック・パラリンピックを契機に東北地方の認知度を高めるため、飛込競技の英国代表であるトム・デイリー氏を、東北4県に招請し、体験の様子を現地メディアや500万人のフォロワーがいる彼のSNSで発信しました。武士道体験などその地域ならではのユニークなアクティビティを提供できたのは受入地域の自治体やDMOの方々に協力いただけたからこそ。地域からの情報提供により、良い行程が実現できました」(臼井)

「東アジアは訪日旅行のリピート率が高まっているので、さらなる地方への誘客や、新たな観光コンテンツの紹介が求められています。JNTOが主催する地方での商談会とファムトリップでは、招請した旅行会社に対し、その地域の方々だからこそお伝えいただくことができる細かな観光情報を、自治体やDMOをはじめとした地元の方々が丁寧に説明してくださり大変助かりました。おもてなしの心や対応のきめ細やかさが伝わると、相手の満足度は高まります。旅行商品の造成への意欲向上につながるのではないでしょうか」(佐久間)

海外プロモーション部 東アジアグループ 香港担当の佐久間裕大

「東南アジアグループではインド市場において現地メディアによる東北地方への視察旅行を今夏に初めて実施しました。インドではまだ東北の認知度が高くないため、東北を印象付ける象徴的なイベントのひとつである『新庄まつり』に参加いただきました。開始前に会頭や、新庄市の国際交流組織『おもてなしレディース』と交流する機会を設けたところ、地元住民の結束の強さや祭りへの思いの強さに興味を持たれ、地域文化の深い理解につながりました。意見交換も活発に行われたため、地域との交流にはメリットが多いと感じました」(河横)

海外プロモーション部 東南アジアグループ インド担当の河横香織

「本物志向」の需要を踏まえ、旅行者視点の魅力を届けることが重要

訪日外国人旅行者の誘致を成功させるためには、現地旅行会社が求めているものと、地域の観光商品のギャップを埋めていく作業が求められます。

「旅行好きの人たちは、旅先で“本物”を求めます。日本人が観光するようなところに行き、日本人が聞くような説明を聞きたい。体験も外国人用ではなく日本人が体験するようなことをしたいという思いが強いです。日本を知れば知るほど、その傾向は強くなっていきます。そのため、本物志向が強い海外の方々に、そういった商品をしっかり届けることが期待されます」(臼井)

「需要が見込める市場にはぜひ足を運んでいただき、旅行会社と関係性を構築して現地の声を聞いていただきたいですね。国内外で開催される商談会やセミナーなどのイベントにも積極的にご参加いただけたらうれしいです」(河横)

「できるだけひとつの地域ではなく、近隣の自治体や民間企業と広域で連携してPRした方が、現地の旅行会社も行程など旅行商品のイメージがしやすいと思います。訪日外国人旅行者は点ではなく広い面で動きます。彼らの視点に立ちながら、私たちと一緒に訪日旅行の魅力を高めていきましょう」(一同)

JNTOでは以下の部署およびグループの活動内容や地域と連携した取り組みなどを紹介しています。

1. 市場横断プロモーション部 ラグビー・オリパラグループ


2. 地域連携部 会員サービスグループ
3. 地域連携部 受入対策グループ
4. 企画総室 デジタルマーケティング室
5. 企画総室 調査・マーケティング統括グループ
6. MICEプロモーション部