HOME JNTOの事業・サービス 地域インバウンド促進 インバウンドノウハウ

観光資源の多言語対応に役立つ観光庁の指針と動画をご紹介

観光資源の多言語対応に役立つ観光庁の指針と動画をご紹介

観光資源の多言語対応に役立つ観光庁の指針と動画をご紹介

観光庁が文化庁、環境省と連携して実施している「地域観光資源の多言語解説整備支援事業」をご存知ですか。日本の文化、歴史、自然をはじめとした観光資源の多言語化を支援するだけでなく、事業を通して得た知見を成果物として公開。新たな多言語解説整備や、既存の多言語解説文の見直しの参考にすることができます。こちらの記事では、成果物の中から「魅力的な多言語解説作成指針(HowTo多言語解説文整備)」と指針の内容を映像で紹介する動画の内容の一部を、多言語解説整備における疑問や悩みとともにご紹介します。

観光資源の多言語解説文整備を支援。観光庁の「地域観光資源の多言語解説整備支援事業」

皆様ご自身が旅行をした際、旅マエではWebサイトやプロモーション映像などでイメージをふくらませたり、旅ナカでは解説看板やパンフレットなどで新たな発見と出会ったり、旅アトでは持ち帰ったパンフレットや図録などで思い出を振り返ったり。観光地や観光資源について書かれた、読みやすく、分かりやすい解説文を通して旅行の満足度が高まった経験はありませんか。この経験は、インバウンドで日本へ訪れる外国人旅行者も同じです。

観光庁では文化庁、環境省と連携して「分かりやすい多言語解説整備推進委員会」を立ち上げ、平成30年度より「地域観光資源の多言語解説整備支援事業」を開始。「国立公園」「世界遺産」「国宝・重要文化財」「地域伝統芸能」「祭り」「食文化」「温泉」といった観光資源の多言語化を支援しています。さらに、事業の成果物として「魅力的な多言語解説作成指針(HowTo多言語解説文整備)」「ライティング・スタイルマニュアル」「用語集」「事例集」を作成。観光資源所有者、管理者、事業者といった方々が、既存の多言語解説文の見直しや、新たな多言語解説文整備を実施する際に参考できるよう、観光庁のWebサイト で公開しています。

地域観光資源の多言語解説整備支援事業

こちらの記事では成果物の中から、多言語対応における現状と課題、多言語解説文作成における基本的な考え方や進め方をまとめた「魅力的な多言語解説作成指針(HowTo多言語解説文整備)」とHowTo多言語解説文整備の内容を映像で紹介する動画の内容の一部を、多言語解説整備における疑問や悩みとともにご紹介します。

「地域観光資源の多言語解説整備支援事業」の成果物は、下記URLよりご確認いただけます。
https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kankochi/multilingual-kaisetsu.html

 

魅力的な多言語解説文が必要な理由は?

なぜ魅力的な多言語解説文が必要?

観光庁が平成29年度に実施した「訪日外国人旅行者の受入環境整備における国内の多言語対応に関するアンケート」では、全体の約68%の旅行者が城郭・神社・仏閣における「歴史・文化に関する説明を読む際」に困った場面があると回答。その理由としては、「表示言語数の不足」「多言語で書かれている記載量が少ない」「多言語で書かれているが誤訳がある」などの問題点が挙げられました。

また、平成30年度のアンケート調査では、観光地を訪れた外国人旅行者の90%以上が解説文を読む調査結果も出ています。

既存の多言語解説文が魅力的かどうかわからない

訪日外国人旅行者の興味・関心は日本人とは異なっています。そのため、日本人に向けた解説文をそのまま英語への直訳や機械翻訳にした文章の場合、訪日外国人旅行者にとって観光資源の魅力が伝わらない内容や誤訳があることがあります。外国人旅行者の興味・関心点を把握する方法として、SNSや口コミサイトのユーザーコメント、また地域在住の外国人へのヒアリングも参考になります。

魅力的ではない多言語解説文の事例は?

多言語解説文の改善が必要な例として、制作から時間が経過し既存の多言語解説文に誤った情報の記載がある場合、日本語特有の表現や日本語解説文を英語へ直訳しただけで、補足説明がなく理解が難しい、または伝わらない内容になっている場合が挙げられます。また、適切でない表記・表現、興味・関心のない情報を多く記載、長文過ぎかつ複雑(解説看板の場合)、同じ多言語解説文の中での表記不統一、一般的でないライティングスタイルといった課題点もあります。

具体的な事例は、下記Webページ内の成果物よりご確認いただけます。
https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kankochi/multilingual-kaisetsu.html

 

訪日外国人旅行者にとって魅力的な多言語解説文は?

魅力的な多言語解説文とは?

文法や表現が正しいかというライティング技術だけではありません。日本人と外国人旅行者は日本の歴史や文化的背景に関する知識や認識が異なるため、日本人目線では気付かない疑問や興味を持つことがあります。解説文には読み手の疑問を解消する情報を提供し、読み手の学びや感動を深めるものであることが望まれます。収集した観光資源の情報を、外国人の立場に立って見直し編集するとともに、外国人旅行者にとって不足する情報を適切な形に整えることが重要です。

外国人が解説文で知りたい情報は?

観光庁は、地域観光資源の多言語解説整備支援事業のアンケート調査にて、観光地で解説文を読むにあたり、どのような情報を知りたいかを尋ねました。文化財の解説文を読む際は、文化財の持つ歴史的な意味やストーリー、日本独自の精神性や文化などの情報に高い興味・関心が寄せられました。国立公園の自然などに関する解説文を読む際は、その地域に生息する動植物等の情報に加えて、その地域で体感・体験することのできる文化や風景、行事といった地域にまつわる情報を期待する声が多くありました。

一方、地元の方々にとっての日常である地域の観光資源の魅力に気づいていない場合があります。地域在住の外国人や地域外の日本人などの方々によって、観光資源の再発見、再評価を行うことも必要です。下記の多言語解説整備推進委員ロバート・キャンベル氏のコメントもご参考ください。

外国人目線を通した観光資源の新たな魅力の発掘

日本各地には、自然や文化、料理などさまざまな観光資源があります。そのような場所に外国人のライターが取材に行き、歴史的な状況、自然風土の特徴などを地元の方々と検証しながら、ライター自身でも調べ、体感をして英語の解説文に落とし込む。そのように外国人の目線を通してできあがった解説文は、外国人にとってわかりやすいだけではなく、日本人がこれまで当たり前だと思っていたものに新たな気づきを与え、観光資源の発掘につながるなどの化学反応も期待できます。

 

解説看板とWebサイトの多言語解説文は同じでOK?

多言語解説文を掲載する目的用途、媒体の長所や短所を理解し、媒体に応じた書き方をする必要があります。たとえば解説看板の場合は読みやすく簡潔な文章、パンフレットの場合は文章と写真のバランス、音声ガイドの場合は聞きやすさを心がけるなど、同じ観光資源であっても媒体によって書き分けることが重要です。

媒体の種類や特徴の詳細は、下記Webページ内の成果物よりご確認いただけます。
https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kankochi/multilingual-kaisetsu.html

 

ライティング・スタイルマニュアルや英語解説文の事例集も

これまでご紹介した内容だけでなく、「魅力的な多言語解説作成指針(HowTo多言語解説文整備)」には多言語解説文作成の手順、各工程における作業内容を整理した「解説文制作の進め方」も掲載されています。

また、「地域観光資源の多言語解説整備支援事業」ではその他にも、地域の多言語解説文整備に役立つ成果物が作成されています。ライター、エディター等が執筆を進めていく際に参考とするスタイルに特化した「ライティング・スタイルマニュアル」、事業を通して作成した英語解説文を掲載した「事例集」、単語等から検索が可能な「データベース」などがあります。「事例集」に掲載されている解説文は、解説文の一部、または全部を一言一句変更せずに利用する場合は使用することが可能です。多言語解説整備を今後予定している、既存の多言語解説文の見直しを検討しているといった方々は、ぜひ参考にしてみてください。

「地域観光資源の多言語解説整備支援事業」の成果物は、下記URLよりご確認いただけます。
https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kankochi/multilingual-kaisetsu.html

成果物一覧