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[2016年度調査] 訪日外国人旅行者の消費動向とニーズについて

Written by JNTO

訪日時外国人の地方訪問へのニーズ、モノ消費とコト消費に焦点をあてた調査結果から、外国人のインサイトや地域の可能性を紐解いてみましょう!

>調査レポート全文はこちら<

日本政府観光局では、訪日外国人の地方への誘客、地方での消費活性化に向け、訪日外国人のニーズや、ニーズに応えるために地域ではどのような取組が必要なのかを把握するため、2016 年4 月~8 月にインバウンドに取り組む国内地域へのヒアリング調査を実施するとともに、外国人旅行者の送り出し地域から5 市場(中国、タイ、インドネシア、米国、フランス)を選び、消費者アンケート、フォーカスグループインタビュー、有識者インタビューを行いました。訪日時外国人の地方訪問へのニーズ、買い物に関わる消費を指すモノ消費のニーズと日本の観光・サービス・文化・習慣等の体験に関わる消費を指すコト消費に焦点をあてた調査結果から、外国人のインサイトや地域の可能性を紐解いてみましょう!

かつてメディアを賑わせていた中国人観光客を中心とした「爆買い」現象に象徴されるように、訪日外国人の消費としてはモノ消費が注目されていましたが、自然景観鑑賞、歴史建造物への訪問、アクティビティ体験等のコト消費も、訪日外国人の消費として定着してきています。

今回調査の対象となった中国、タイ、インドネシア、アメリカ、フランスで日本の地方を訪問する動機となる主な観光資源を聞いてみたところ、温泉、静けさ、歴史建造物、博物館・美術館、自然、アトラクション、スポーツ、動物、食事が挙げられました。市場別の特性を見てみると、米国人、フランス人等は日本の食や文化、歴史などの理解に繋がるような体験を好む傾向があり、買い物への関心はあまり高くありませんでした。中国人、インドネシア人は、米仏よりは買い物への比重が高く、買い物も体験も両方を好んでいる傾向にありました。

実はこの「体験」こそが訪日外国人を地方へ誘客するきっかけとなっていることをご存知でしたか?この調査では、体験をコト消費と定義していますが、誘客のきっかけとなるようなコト消費は、大都市圏よりも地方地域でより楽しめる、自然景観の観賞や散策、旅館や温泉での宿泊体験、特産物の飲食等多岐に及びます。しかしながら、外国人旅行者が持つコト消費へのニーズに応えるだけのサービスが十分には整っていないために、受入キャパシティや満足度の向上を図りにくく、収益の拡大にも繋がりにくいのが現状です。つまり、地域においてはコト消費を恒常的に提供できる商品として整備し、収益に繋げていくことが課題と言えます。

一方で、収益性が低い、もしくは全くない体験や経験であっても、それをしたことによりモノ消費が促されるケースがあることもわかりました。例えば、外国人旅行者が地元の人と交流した際に推薦された地酒をお土産として購入する、といったことです。このように、間接的に消費行動に繋がるフックとしてもコト消費は拡大の余地があり、観光地の活性化だけでなく、経済的発展のきっかけとしても期待されます。

ここで、地方地域へのヒアリングから見えた外国人旅行者によるコト消費、モノ消費の事例を紹介しましょう。

兵庫県豊岡市(城崎温泉):外国人旅行者×コト消費 → モノ消費

人口減少を食い止めるため地域経済活性化、雇用創出を目的とした観光産業の取り組みの一環として、2007年の町村合併を機にインバウンド旅行者の取り込みを開始。クラウドを利用した通訳サービス等の先進的な受け入れ環境整備に取り組んだほか、地域として独自の宿泊予約サイトを立ち上げるなど、収益を地域に残す仕組みづくりにも注力してきました。

域内の観光地の中では最も認知度の高い城崎を豊岡全体のブランドとして掲げ、浴衣でそぞろ歩きができる町をコアコンセプトとし、欧米、特にフランス人への訴求を意識してプロモーションを展開した結果、フランスや米国からの宿泊者数が伸びただけでなく、東アジアからの個人旅行者の伸びにも繋がりました。

消費の面では、城崎温泉における外湯のスキームを活かし、宿泊施設だけで旅行者を囲い込まず、積極的に宿泊者にそぞろ歩きを促すことで、外湯の利用、地域の飲食店の利用、お土産屋さんでの買い物など地域でのモノ消費が促進されていることに加え、城崎温泉を起点とした周辺観光地へのバスツアーを企画・販売するなど域内での相互送客も行っています。事業者同士が支え合い、地域全体で収益を分かち合うことで、面として受入環境の向上、受入意識の向上を実現しています。

地域経済への影響を見てみると、冬のカニのシーズンは日本人旅行者、春や夏は外国人旅行者を迎え入れることで、受入時期の平準化を図ることに成功。稼働率アップにより職員の通年雇用を実現した宿泊施設が増えたほか、大都市に出ていた子供世代のUターンも見られるなど人口増加も促されています。

徳島県三好市:欧米からの旅行者×コト消費、アジアからの旅行者×モノ消費

以前は地域の温泉旅館が個別にセールスする手法を採っていた祖谷温泉ですが、「大歩危・祖谷いってみる会」を立ち上げ、地域の温泉旅館が連携して自治体と共に地域をPRする手法に切り替えました。

二次交通の課題を逆手に取り、地域のコアコンセプトを「千年のかくれんぼ」に設定。秘境を旅するロマンをブランディングしました。

高低差を活かしケーブルカーで訪れる露天風呂、古民家を改装した宿泊施設、バックパッカーを意識し旅行者同士の交流の場所となったゲストハウス、国内有数の暴れ川でもある吉野川でのラフティング、祖谷そば打ち体験等、様々な体験・交流を提案することで、欧米を中心とした個人旅行者の長期滞在を促進しています。

また、東アジアからの団体旅行者に対しては、遊覧船での川下り体験、観光施設での受入時・送客時の各国語でのおもてなし、お土産物屋さんでの台湾人研修生による中国語での説明など、滞在時間中のコト消費の満足度を上げることで、モノ消費に繋げるような取り組みがなされています。

平日は欧米からの旅行者が域内を歩く姿があちらこちらで見られるようになっており、国内のメディアにも取り上げられたことをきっかけにIターンによる若者の移住も進んでいます。ゲストハウスの開業や体験型商品の販売なども増え、地域の観光資源や滞在エリアの多様化に繋がったほか、外国人旅行者と日本人旅行者の双方の取り込みに成功したことにより、平日と週末の受入客の平準化も実現しつつあります。

一方で、労働人口の低さは解消されておらず、各施設での人材不足が新たな課題となっています。

山梨県富士吉田市:外国人旅行者×コト消費

青空を背景に桜・5重の塔・富士山が撮れる場所として一気に知名度が上がった富士吉田市。きっかけを作ったのはタイ人旅行者とSNSでした。今では、多くの外国人旅行者が箱根周辺を訪問する行き帰りに、富士吉田市で途中下車し、新倉山浅間公園を訪れます。

富士吉田市の事例は、訪日インバウンドプロモーションにおけるSNSの力を認識するきっかけとなったとともに、意図せず外国人旅行者が殺到した地域の戸惑いについて考える機会になりました。

富士吉田市では、外国人旅行者が住民の生活道路を迷いながら行き来する状況を重く見て、富士吉田駅から新倉山浅間公園までの間に外国語による案内板や歩道を整備したほか、駅前の飲食店が協力し、地域を訪れた日本語のわからない外国人旅行者がレストランやATMなど必要な施設を探しやすくなるように英語で地域マップを作成しました。

しかし、外国人旅行者の訪問数増加は地域経済に貢献していません。これは、地域に体験型の商品や宿泊施設、外国人旅行者も楽しめるイベントなどが少なく、ほとんどの外国人旅行者は、忠霊塔を訪問し写真を撮るだけで帰ってしまうためです。これでは、受け入れている地域及び地域住民がポジティブな機会として、外国人旅行者の訪問を捉えることは難しいと言えます。

例えば、忠霊塔での写真撮影をより楽しくするようなサービスや、カットフルーツの販売スタンドの設置など、訪れた外国人旅行者が喜んで購入したくなるような体験や、「ながら買い」を促すような商品の開発が急務です。

しかし地域も受け身で待っているだけではありません。外国人旅行者増加を好機と捉え、地域おこし協力隊やIターンで移住した若者によって商店街の空き店舗にイベントスペースやゲストハウス、さらには登山用品店がオープンするなど、旅行者の滞在時間の延長に寄与するようなビジネスが徐々に立ち上がり、地域も動き始めました。富士吉田市のこれからが期待されます。

 

より詳しい情報は、こちらの調査レポート(全文)を御覧ください。

 

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